排尿障害とは
排尿障害とは、正常な排尿状態を維持できなくなった状態のことです。これには頻尿、夜間頻尿、尿意切迫、尿失禁、排尿困難(遷延(せんえん)性排尿、苒延(ぜんえん)性排尿等)、尿閉等が含まれます。
排尿障害は下部尿路症状と呼ばれ、これには➀蓄尿症状と②排出症状の2つがあります。蓄尿症状は、頻尿・夜間頻尿・尿意切迫・尿失禁等であり、排出症状は排尿困難(遷延性排尿、苒延性排尿等)、尿閉等です。ここでは排尿障害の中でも多い症状が尿失禁(尿漏れ)について紹介します 。
女性の尿漏れ(軽失禁) の年齢分布とタイプ
図は、花王株式会社生活者研究センター「くらしの現場リポート」(2018.6月)に掲載されていた女性の軽い尿漏れの年齢分布です。グラフで示されているように女性には軽いとはいうものの尿漏れで悩んでいる人は多いことが分かります。尿漏れの原因はいろいろありますが、最も多いタイプは腹圧性尿失禁(30~40代は87%、60~70代は75%)、次いで切迫性尿失禁(30~40代は33%、60~70代は61%))による尿漏れです。
腹圧性および切迫性尿失禁による尿漏れの病態とは?
腹圧性尿失禁による尿漏れ:重いものを持つ、くしゃみ、大笑い等により腹圧がかかり、これが膀胱内圧に加算されて尿道内圧を越えることによって尿漏れが起こります。中年以降の女性に多く、原因は尿道括約筋を含む骨盤底筋群の筋肉が緩むために起こります。出産を契機に出現することもあります。また陰部神経の損傷による骨盤内臓器の支持組織の脆弱化が原因で起こるものもあります。
切迫性尿失禁による尿漏れ:強い尿意が突然起こり、トイレに間に合わず,こらえきれずに尿が漏れるものです。これには、知覚性切迫性尿失禁と運動性切迫性尿失禁の2種類があります。前者は、膀胱感覚路からの強い刺激が原因とされ,膀胱炎などにより生じます。後者は脳内の病変、例えば脳血管障害などで排尿の調節ができなくなり、正常では容易に我慢できるような尿意でも排尿反射が誘発されて尿が漏れます。
骨盤底が緩んでいると尿道が動きやすくなり、膀胱が腟の方に倒れ込む。そこに腹圧かかかると尿道が開いて尿がもれる。
腹圧性尿失禁による尿漏れを改善し、活発に活動を
尿漏れのセルフケアで改善が期待できるのは、腹圧性尿失禁による尿漏れです。尿漏れのセルフケアは、骨盤底筋体操です。
(1)仰向けに寝て両脚を肩幅程度に開いて、両膝を軽く立てます。➨ (2) 尿道、肛門、腟をぎゅっと締めたり、緩めたりします。これを3回くらい繰り返します。➨ (3) 次はゆっくりぎゅっと締め、締めたまま3秒間くらい保持します。これを3回くらい繰り返します。次第に締める時間を長くして下さい。締めたまま3秒間、保持することがポイントです。徐々に回数を増やしていきましょう。
腹圧性尿失禁のツボ
内果の一番高いところから指4本上で脛骨内縁の際に取る。三陰交のツボは、女性の生殖器や泌尿器の病気に効果的なツボです。市販の温灸を1日おきに左右の三陰交に1回~3回試みてください。