肩こりに悩む女性

【肩こりは日本人特有の症状?】

肩こりを訴える人はとても多いのです。外国では、“肩こり”という症状名は見当たりません。そのことにおいて“肩こり”は日本人特有の症状と言えます。何故、日本人に肩こりが多いのか、その理由の一つが、肩への意識が高いことが挙げられています。それは「からだ言葉」から伺えます。
世界の中でも「からだ言葉」が最も多い国が日本だと言われています。しかも「からだ言葉」の中で最も多いのが「肩」のつく慣用句です。例えば➀肩を怒らす、②肩を落とす、③肩で風を切る、④肩をもつ、⑤肩をかす、⑥肩で笑う、⑦肩が悪い・肩がよいなどです。肩という身体部位で心情や情感を表す文化が背景にあると言われています。更に⑦肩が悪い・肩がよいは、人の運命を表すと言い伝えられています。それは肩に「倶生神」という神様が住みついていて、その人の一生の善悪を記録し、死後、善行・悪行を閻魔大王に報告します。
その結果、地獄か極楽かに振り分けられるということから人の運命を表すとされています。歌人の与謝野晶子も「いと重く苦しきことをわが肩に負わせて歳は逃げ足に行く」と詠んでいます。とにかく色々な苦労を肩でしょって日々生活をしているのが日本人です。

【肩こりには鍼灸マッサージを】

平成30年度の国民生活基礎調査の有訴者率によると、肩こりに苦しんでいる人は、千人当たり男性57.0人、女性117.5人で、有訴者率では男性は第2位、女性は第1位でした。まさに「肩こり」は、国民病といっていいでしょう。
肩こりを引き起こす原因は多様です。頸椎の障害、心臓疾患、感覚器(目・耳・歯など)の障害、内臓の障害、肩の筋肉の疲労、精神的ストレスなどです。「肩こり」の治療においては、その原因となる病態を見分け、適切な対応をとることが大切です。中でも多いのが、精神的ストレスです(図1)。“肩の荷を下ろしたい” と思っている人は非常に多いことと思います。その場合は、肩局所の治療だけでは改善しません。身心全体のバランスをとることがポイントです。それ以外の原因による肩こりでも同様です。
一枝のゆめ治療院では、肩こりの病態を丁寧に診察し、原因となる病態の治療と併せて身心全体のバランスをとるように治療します。図2はあん摩により肩こりの「こり」が軟らかくなることを示したものです。

肩こりのメカニズム

精神的ストレスで交感神経活動が亢進し、その結果として筋の過緊張が生じます。

あん摩の効果

あん摩法の揉捏(もむ)法と指圧を比較したもの。「こり」には揉捏の方がより効果的でした。